2011.10.28
診療内容 ― 脂質異常症について
今回は「脂質異常症」についての説明です。コレステロールや中性脂肪といった脂質は、生体膜やホルモンの材料、エネルギー代謝などにおいて生命維持に大切な働きをしています。通常、脂質は食事から摂取されたり肝臓で合成されたりして血液中に一定の値に調節されていますが、食生活の欧米化に伴い脂質摂取量が増加し、脂質異常症が疑われる人は約1410万人と推計されています(平成18年調査)。
診断にはLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)の値が用いられます。LDL(悪玉)コレステロールは血管壁に沈着して動脈硬化を進め、HDL(善玉)コレステロールは血管壁に蓄積した過剰なコレステロールを取り出して動脈硬化を抑えます。以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、低HDLコレステロール血症やLDLコレステロールの質の異常も動脈硬化を進ませるため、2007年から「脂質異常症」と呼ばれるようになりました。診断基準は、LDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満、中性脂肪150mg/dl以上です。
脂質異常症は動脈硬化の危険因子の一つです。動脈硬化は血管の内側にプラーク(コレステロールの固まり)が形成され、内腔が狭くなったり詰まったりする状態で、冠動脈に起これば心筋梗塞、頚動脈に起これば脳梗塞の原因になります。プラーク内部のコレステロールはLDL由来であり、特に心筋梗塞では脂質異常の管理が予防のために最も重要です。低HDLコレステロール血症や高中性脂肪血症は糖尿病・肥満・高血圧など他の生活習慣病をしばしば合併し、メタボリック症候群の診断項目にも含まれます。
原因は、摂取エネルギー過剰などの食習慣や運動不足とともに、遺伝的な素因もあるといわれています。家族性高コレステロール血症は比較的高頻度で、若い頃の心筋梗塞の家族歴が参考になることがあります。甲状腺機能低下症やネフローゼ症候群など他の疾患で二次性に生じることもあります。自覚症状はほとんどないことが多いですが、アキレス腱の肥厚や皮膚の黄色腫がみられることがあります。労作時に胸痛がある場合は冠動脈が狭くなっている可能性があり、また中性脂肪が著しく高くなると(1000mg/dl以上)急性膵炎を起こすことがあり、激しい腹痛に注意が必要です。
(院長 橋爪 喜代子)
☆次号へつづく…次号は脂質異常症の治療、食事の注意などについてです。
スタッフを紹介します
はじめまして。月曜日と土曜日(隔週)の午前に勤務している看護師の塩田です。以前は病院で腎臓・糖尿病内科の病棟に勤務していました。当院に来院される患者さまも同じ病気の方が多いので、以前の経験を生かしながら頑張っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
編集後記
秋の深まりとともに、インフルエンザ予防接種が10月より始まりました(詳細は院内の掲示またはお電話にてご確認ください)。また、おかげさまで11月1日に5周年を迎えます。
発行年の情報により作成しています。その後のガイドライン改訂などにより、最新の情報を反映していない場合があります。